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ミサイル 強まる懸念 中国地方 基地への不安も

 北朝鮮の弾道ミサイル発射計画を受け、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が配備されている中国地方。29日早朝のミサイルは北海道上空を通過したものの、グアムへの発射時には広島、島根両県の上空を通過すると予告されているだけに、「人ごとではない」と不安の声が相次いだ。米朝間の緊張は高まっており、平和的な解決を望む声も上がった。

 「これまではどこか人ごとだったが、国内に落ちるかもしれないと実感した」。福山市立大2年の柚木凱翔さん(19)=浅口市=は、日本の上空を越えたミサイルに対する不安を口にする。

 ミサイルは太平洋に落ちた。漁業者の知人が多いという浜田市の主婦桑名スミ子さん(82)は「山陰沖に落ちたり、迎撃で破片が落ちてきたりしたらと考えると安心できない」と、日本海の漁業への影響を心配した。

 PAC3が配備された地域でも緊張が高まった。この日、岩国市の米海兵隊岩国基地ではPAC3による初の迎撃訓練があった。基地近くで働く介護士重本真知子さん(40)=山口県和木町=は「基地が標的になる可能性もある。自衛隊と米軍が関係を密にし、住民を守る体制をつくってほしい」と訴える。

 陸上自衛隊海田市駐屯地のある広島県海田町の主婦山崎恭子さん(58)は「町内にPAC3が配備され、危機を身近に感じる。政府は軍備増強をエスカレートさせず、平和的な解決に向けて努力して」と望んだ。

 ミサイルは、米朝間の緊張が高まる中で発射された。広島市安佐南区の無職小田原俊明さん(67)は「日本上空を飛ばし、政府や国民の反応を見ているのではないか」と推測。「日米関係を弱めるわけにはいかないが、米国追随だと日本が狙われる恐れも高まり、解決策が見つからない」と頭を抱えた。

(2017年8月30日朝刊掲載)

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