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[変わる岩国基地] 米軍機 見えぬ飛行計画 国は「非開示」 自治体「情報提供を」

 米海兵隊岩国基地(岩国市)など在日米軍基地での米軍機の運用について、国は飛行計画を事前に把握しながら「非開示」扱いとし、自治体側に情報提供していない。計画には飛行先や機数が記されており、国は「米軍の運用に関わる」として事後公表もしていないが、基地を抱える都道府県は飛行情報の事前提供を求めている。

 国土交通省によると、航空法では、国内を飛行する航空機に対し、飛行計画の事前通報を義務付けている。計画には型式や機数、出発地や目的地の飛行場などを記す項目がある。

 米軍機は日米地位協定に基づく航空特例法で、日本の航空法の多くが適用除外となる。だが、飛行計画の通報は米軍機も必要となり、国交省へ通報し承認を得なければならない。

 一方、こうした米軍機の運用に関わる情報が、事前に自治体側へ知らされる例は少ない。1日から米海軍厚木基地(神奈川県)で空母艦載機の陸上空母離着陸訓練(FCLP)が実施された際には、初日の訓練開始の約5時間前に南関東防衛局から神奈川県へ通告された。同県は「FCLPは日米両政府の了解事項に基づき、関係自治体に事前通告されるが、他の飛行情報の入手は困難」とする。

 ただ、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)への配備前から事故が相次いだ垂直離着陸輸送機オスプレイの飛行情報は、国内各地の防衛局職員が目視で確認した運用状況を基に、日頃から関係自治体へ連絡している。沖縄防衛局は「自治体側の要請を受け、情報提供している」と説明する。

 実際、大分空港(大分県国東市)に緊急着陸したオスプレイが8日に岩国基地へ飛来した際も、山口県や岩国市に中国四国防衛局から事前連絡があった。

 山口県など米軍基地・施設のある全国15都道府県でつくる「渉外知事会」は、米軍機が基地以外の空港を使う場合の国内法令の適用▽飛行の事前情報を迅速かつ適切に公表し、地元自治体に提供―などを求め、日米地位協定の見直しや運用改善を国へ要望している。

 一方、外務省北米局日米地位協定室は「飛行計画は米軍のオペレーションに関わる部分があり、開示しない」としている。(和多正憲)

(2017年9月14日朝刊掲載)

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