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「日本も署名を」声高く 核禁止条約式典 被爆者ら転換訴え 広島・東京 行進や集会

 核兵器禁止条約への理解を広め、政府に参加を促そう―。各国政府による禁止条約への署名が始まった20日、被爆者たちは歓迎し、核兵器のない世界への前進を求めて被爆地広島や東京で声を重ねた。同時に、核抑止力に安全保障を依存し、署名しない日本政府へ方針転換を強く迫った。(城戸良彰、野崎建一郎)

 広島県被団協(佐久間邦彦理事長)と県原水協は署名開始に合わせ、広島市中区の金座街から平和記念公園まで約1キロのパレードを企画。65人が「日本政府は条約に署名し、核兵器廃絶の先頭に立て」と記した横断幕やカードを掲げ、「みんなの力で核兵器なくすぞ」と声を上げた。

 出発に先立ち、佐久間理事長(72)は日本政府を「被爆者の願いを無にし納得できない」と批判。「署名してもらうため、広島から大きな声を上げよう」と呼び掛けた。両団体はこの日、全ての国に条約の締結を求める「ヒバクシャ国際署名」を街頭で募った。

 広島の反核平和団体は来月1日、条約の締結促進へ、市内で集会を開く。実行委員会事務局長で、核兵器廃絶をめざすヒロシマの会の森滝春子共同代表(78)は「条約の意義を多くの人と共有し、被爆国としての国際的信用を失った日本政府の方針を改めさせたい」と力を込める。

 首相官邸前では、首都圏の被爆者たちが条約加盟を政府に求めるアピール活動があり約200人が集まった。国会内では、日本被団協が日本政府に条約への賛同を求める集会を開き、被爆者たち約100人が参加した。岩佐幹三顧問(88)は「核兵器の非人道性の観点から条約が確認された。日本政府は先頭に立って核兵器のない時代を築いて」とあいさつ。国会での条約の批准承認に努めるよう求める要請書を、集会に招いた各政党の代表者に渡した。

 もう一つの広島県被団協(坪井直理事長)から参加した箕牧(みまき)智之副理事長(75)は「核兵器や戦争をなくすため、日本政府には一刻も早く条約に署名してほしい」と話した。

(2017年9月21日朝刊掲載)

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