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ヘリ横転は「人的要因」 岩国事故で海自 操縦 連携欠く

 海上自衛隊岩国基地(岩国市)で8月17日に海自のCH101ヘリコプターが訓練中に横転し4人が負傷した事故に関し、海自は22日、原因は「人的要因」との調査結果を公表した。機長と副操縦士が連携不足から同時に操縦した結果、機体の縦振動が発生し、着陸後に横転したとしている。

 海上幕僚監部の森脇仁総括副監察官たちが、岩国市の防衛省岩国防衛事務所で説明した。事故機は、副操縦士が荷物をつり下げて運ぶ訓練のため操縦。東側から高度約30メートルで基地上空に進入後、ホバリングへの移行時にエンジン出力が制限を超えそうになり、機長が修正しようと自席で操縦を始めた。機長は操縦の引き継ぎを副操縦士に伝えなかったという。

 副操縦士は機長の動きに気付かず、エンジン出力に関係するレバーを2人で頻繁に操作したため、機体の縦振動が起きた。着陸後も振動は続き、エンジンを停止できないまま機体は上下に弾みながら後進。他の乗員から「海に落ちる」と報告を受け、機長が前進の操作をしていたところ、バランスを崩して横転したという。

 森脇総括副監察官は「機長の不適切な判断と操縦士間の連携不足が重なって事故が起きた」と説明。また縦振動の発生時はレバーを握る手を緩め、自動回復を待つようマニュアルに記載されているが、実践されなかった。

 海自は機体に問題はなかったとして、飛行特性の再教育などの再発防止策を実施した上で、事故後に自粛していた同型機の飛行を23日以降に再開する。(松本恭治)

(2017年9月25日朝刊掲載)

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