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連絡協に事務を移管 大久野島毒ガス工場被害者8団体 高齢化

 大久野島(竹原市忠海町)にあった旧日本陸軍の毒ガス製造工場の被害者でつくる8団体は3日、それぞれの事務作業を一本化し、呉共済病院忠海分院(同市忠海中町)の敷地内で相談室を運営している大久野島毒ガス障害者団体連絡協議会に移管した。高齢化による役員の負担を軽減し、医療支援や体験継承活動に力を入れる。

 竹原市役所で開いた会議に、7団体の代表者が出席した。空席だった連絡協の会長に大久野島学徒親和会(三原市)会長の神明正明さん(85)を正式に選び、8団体の業務を盛り込んだ新たな規約を定めた。事務員2人が、8団体の会員計661人の医療手当申請や会費管理などを担う。

 被害者の団体は戦後、工場での所属や居住地によって順次結成。最大10団体になった。国に支援の要望を続け、会員の手当申請の補助などを手掛けてきた。

 被害者の高齢化を受け、2012年に1団体が解散。16年4月にも別の1団体が解散した。残る8団体は同12月、連絡協に事務作業を任せることを決め、準備を進めてきた。

 国の健康管理手帳を持つ被害者の平均年齢は、90歳に迫る。神明会長は「各団体内の会員間のつながりは守り、若い世代への証言活動もできる範囲で続けたい」と話す。これまでの各団体の活動について、サポートする竹原市まちづくり推進課の国川昭治課長は「広域に複数の団体があったことが、手厚い体験継承にもつながった」と評価している。(山田祐)

団体名              所在地  設立年 3月末の会員数(人)
大久野島毒ガス傷害者互助会    竹原市  1952 240
大久野島毒ガス障害者厚生会    竹原市  1966  66
大久野島毒ガス障害者徴用者協議会 竹原市  1967 2012年解散
大久野島毒ガス障害者三原地区親睦会 三原市 1968  53
大久野島学徒親和会        三原市  1970 198
大久野島瀬戸田親睦会       尾道市  1971  30
大久野島毒ガス障害者幸崎親睦会  三原市  1975  40
忠海分廠毒ガス障害者協議会    竹原市  1976  18
忠海分廠動員児童の会       竹原市  1977  16
旧忠海分廠動員学徒の会      竹原市  1980 2016年解散

(2017年10月4日朝刊掲載)

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