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国の責任も認める 原発被災者福島訴訟 「自主避難者も救済を」

 福島第1原発事故の被災者約3800人が国と東京電力に損害賠償などを求めた訴訟の判決で、福島地裁は10日、国と東電の責任を認定し、原告約2900人に総額約5億円を支払うよう命じた。東電が支払っている慰謝料を上回る賠償を認め、被害救済の対象を広げた。現状の賠償制度の不備が浮き彫りとなった。居住地の放射線量を事故前の水準に戻す原状回復の訴えは却下された。

 広島地裁でも33人が同種の訴訟で係争中。福島県などから広島県内へ避難した原告は判決を前向きに捉えたが、「賠償が認められた地域は限定的」と残念がる声も聞かれた。

 「国の責任が認められたのは素直にうれしい」。福島市から移住した原告団長渡部美和さん(42)は受け止めた。「あらためて事故は防げたということが分かった。むなしさもある」と話した。

 郡山市から避難したで原告団副団長の石森雄一郎弁護士(38)は、避難指示区域外からの自主避難者の請求を認めなかった点を問題視。原告のうち12世帯28人が自主避難者。「個々の状態が判断されるよう古里を追われた経緯や暮らしぶりをしっかり訴えたい」と力を込めた。

(2017年10月11日朝刊掲載)

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