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強制連行の中国人悼む 広島・安芸太田 市民団体が継承へ

 戦時中の1944年、広島県安芸太田町坪野の安野発電所建設に強制連行された中国人労働者を追悼し、日中友好を誓う集いが15日、発電所近くの石碑前であった。2009年の賠償訴訟の和解成立後、追悼行事などをしてきた西松安野友好基金運営委員会は年内で解散するため、来年以降は市民団体が継承する。

 集いには、元労働者の家族や町民たち約110人が出席した。内田雅敏運営委員長(72)が「(委員会は)任務を終えて解散するが、地道な運動が広く国内外で伝えられ、厳しい日中関係を変える大きな力となることを願う」とあいさつ。元労働者で同委員の義父(92)の代理で出席した中国・天津市の張振侖さん(60)は「日中民間の友情は固いものになった」と代読した。

 工事には360人が連行され、うち29人が亡くなった。工事を請け負った西松建設との和解条項に基づき元労働者や弁護士たち10人でつくる委員会を設置。2億5千万円の和解金を使って中国での調査や補償金支給を進め、碑を建てた10年からは集いを開いてきたが一連の和解事業が終了したため、委員会は解散する。

 15年から集いを共催してきた「広島安野・中国人被害者を追悼し歴史事実を継承する会」の足立修一共同代表(59)は「追悼と歴史の継承をしていきたい」と話している。(山田太一)

(2017年10月16日朝刊掲載)

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