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被爆地の児童 平和へ心一つ 中区の幟町小、長崎の山里小と交流

修学旅行で発表や討論

 広島市中区の幟町小が、長崎市の山里小と交流を始める。二つの被爆地の児童が平和についての考え方を共有し、主体的に意見を発信する場にと、幟町小が提案した。同小は初めて修学旅行先に長崎を選び、6年94人が30日に訪れる。(三宅瞳)

 幟町小は、被爆10年後に白血病で亡くなった「原爆の子の像」のモデル、佐々木禎子さんが通った。命日に禎子さんの生涯や思いを学ぶ全校集会を開くなど独自の平和教育に力を入れてきた。ただ集会形式が多いと、児童は話を聞くだけの受け身な学習になりがち。広島以外に関心を広げるのも課題だった。

 より広い視野で自ら学ぶ方法を模索し、昨年9月に長崎市教委に相談。被爆校として平和教育に力を入れる山里小も「広島について学びたい」と快諾し、交流することにした。

 山里小での初交流では、同小からも6年116人が参加する。両校の取り組みを発表後、小グループで討論し、平和な未来に向けた決意文を作る。

 幟町小は6年の全3クラスから集まった有志21人の実行委員を中心に、夏休み明けから発表内容を考え、文章にまとめた。歌の練習も重ねている。委員長の池尻匡駿君(12)は「これからどう平和を築くかを重視して話し合い、互いに意見を持てるようになりたい」と意気込む。

 「同じ被爆地で学ぶ同世代の考えに触れ、共感したり違いに気付いたりしながら、平和を願う気持ちは同じという連帯感が生まれたら」と島本靖校長。来年以降も修学旅行での訪問を続けるほか、他学年への交流拡大も視野に入れている。

(2017年10月21日朝刊掲載)

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