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真珠湾で原爆展検討 資料館 20年、アリゾナ記念館

 原爆資料館(広島市中区)は21日、被爆75年となる2020年夏に、太平洋戦争開戦の舞台となった米ハワイ・真珠湾のアリゾナ記念館で原爆展を開く検討を始めたと発表した。19年夏には、原爆開発の拠点となったニューメキシコ州ロスアラモスの歴史博物館でも企画。19~20年に米国の計4カ所で開催し、核兵器の非人道性を核超大国の世論に訴える。

 海外博物館との連携強化のため6~19日に渡米していた志賀賢治館長が資料館東館で記者会見し、明らかにした。アリゾナ記念館では学芸担当者たちに、ロスアラモス歴史博物館では館長にそれぞれ面会し、前向きな回答を得たという。今後、開催期間や展示資料などの協議を進める。両館のほか、19年秋に全米日系人博物館(ロサンゼルス)、20年秋にハワイ大ヒロ校でも実施する予定。

 アリゾナ記念館は、旧日本軍による真珠湾攻撃で沈んだ米戦艦「アリゾナ」の上に立つ。原爆展が実現すれば同館では初となる。

 米国での原爆展を巡っては、1995年に首都ワシントンの国立スミソニアン航空宇宙博物館が開催を計画したが、米国の退役軍人たちの反発で中止になった経緯がある。志賀館長は原爆展開催を持ち掛けた各館の受け止めについて、昨年5月にオバマ前米大統領が広島を訪問した影響にも触れ「さまざまな視点で歴史を捉え、向き合おうとする姿勢を感じた」と語った。

 海外で、原爆犠牲者の遺品や被爆証言を通じて惨禍を伝える「ヒロシマ・ナガサキ原爆展」は広島、長崎両市が主催。95年以降、17カ国46都市で延べ53回開いた。うち米国では、12都市延べ18回の実績がある。(野田華奈子)

アリゾナ記念館
 1941年12月の旧日本軍による米ハワイ・オアフ島の真珠湾攻撃で沈没した戦艦アリゾナの乗組員を追悼するための施設。アリゾナの真上に建設されており、62年開設。船体からは今も海にオイルが漏れ出しており「アリゾナの涙」と呼ばれる。真珠湾攻撃を象徴する場として、多くの観光客らが犠牲者追悼に訪れている。

(2017年9月22日朝刊掲載)

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