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核廃絶決議 政府の姿勢「情けない」 ヒロシマ 落胆の声

 国連総会第1委員会(軍縮)で採択された日本主導の核兵器廃絶決議案が核兵器禁止条約に直接言及せず、賛成も昨年より23カ国減ったのを受け、広島の被爆者たちは28日、「恥ずかしい」「情けない」と政府の姿勢を非難した。条約の署名、推進へ、かじを切るよう訴えた。(岡田浩平、水川恭輔)

 「考え抜いた決議案に対する不安の声が世界から上がった。恥ずかしい」。日本被団協の代表理事で、広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之副理事長(75)は憤る。

 24年連続となる決議案では、米国などの保有国が反発する禁止条約を明記せず、非人道性に関する表現も後退した。「米国寄りのわが道をいくというのか。被爆者にもっと寄り添い、廃絶へ本気で取り組んでほしい」と願う。

 今年7月に禁止条約が制定され、国際非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN(アイキャン))のノーベル平和賞受賞も今月発表された。「この風は日本にとってマイナスなはずがない。今が大事な時期。政府は廃絶へ力を発揮してほしいのに」。ICAN加盟団体の活動で証言してきた広島市東区の被爆者、田中稔子さん(79)は言う。

 禁止条約への署名を働き掛けるため、このほど、仲間と作った大きめの折り鶴6、7羽にメッセージや絵を描き、国連の日本政府代表部に送ったという。「草の根で取り組んで政府を動かしたい」

 ICANの川崎哲(あきら)・国際運営委員(48)は、オーストリアなど条約を主導した非保有国が軒並み棄権した点を重視。「条約推進国の側から見て信頼を失ったのは明らかだ。保有国側に軸足を置き、非保有国との橋渡しになっていない」と批判している。

(2017年10月29日朝刊掲載)

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