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原爆が奪った街知って 広島市中区 旧中島地区遺構の講演会

 平和記念公園(広島市中区)地下に残る旧中島地区の遺構について考える講演会が23日、原爆資料館(同)であった。地区の元住民が被爆前の街並みや暮らしを語り、遺構を公開して記憶を継承する必要性を訴えた。

 地区内の旧天神町で6歳まで暮らした森川高明さん(78)=西区=が講演。資料館本館付近にあった無得幼稚園に通い、そばの誓願寺で遊んだ思い出を振り返り、「境内はトンボが舞い、池には亀が泳いでいた」と語った。

 自身は原爆投下の5カ月前に疎開したが、近所の伯父と伯母が天神町の自宅で被爆死したと証言。「地中で物言わぬまま眠っている古里の訴える力は大きい」と力を込めた。

 広島女学院高1年庭田杏珠さん(15)は「原爆被害を伝えるためにも、遺構が見学できるようになれば」と話していた。

 市民団体「広島平和記念公園被爆遺構の保存を促進する会」が主催し、約60人が参加。市が園内で新たな遺構発掘と2020年度の公開を目指す中、機運を高めようと企画した。(水川恭輔)

(2017年11月24日朝刊掲載)

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