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【解説】艦載機 岩国に第2陣 不安解消へ運用把握を

 米軍岩国基地への空母艦載機移転はFA18スーパーホーネットとEA18Gグラウラーの配備で本格的な段階に入った。騒音悪化や墜落事故のリスクは確実に増す。国や地元自治体は艦載機の運用実態を丁寧に把握し、不安解消に努める責務がある。

 第2陣の移転に伴い、まず懸念されるのが騒音被害だ。従来機よりエンジン出力の大きい機体が一気に30機増え、その飛行と離着陸が日常となる。影響は基地周辺にとどまらない。広島県西部・北部や島根県西部ではこれまでも米軍機の低空飛行の目撃が相次ぎ、住民たちは艦載機の運用に不安を募らせる。

 騒音に加え、艦載機を含む米軍機の事故が各地で続発している。米軍関係者による痛ましい事件も絶えない。今月も沖縄で米海兵隊員が飲酒運転し、死亡事故を起こした疑いで逮捕されたばかりだ。国は事あるごとに米側に再発防止を求めているが、対応は不十分と言わざるを得ない。

 その一端を表すのが、第2陣の移転を巡る一連の経緯だ。グラウラーの移転について国は1月、米側との協議結果として「来年1月ごろ」と説明。一方、米軍は8月に「今秋」と発表した。この食い違いについて国は「米側に照会中」と繰り返し、軌道修正したのは移転直前。米側や地元とどこまで真剣に向き合っているのか疑念さえ募る。

 地域に新たな負担を強いる中、住民の安心安全をどう担保するのか。国はこれまでのような形式的要請などにとどめず、より実効性のある対策を打ち出すべきだ。移転を認めた地元自治体の姿勢もまた、これまで以上に問われる。(松本恭治)

(2017年11月29日朝刊掲載)

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