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市民に理解や懸念 艦載機 岩国に第2陣到着 市議会 安全対策を要望

 米軍岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転第2陣として、FA18スーパーホーネット戦闘攻撃機などが到着した28日、コンクリートの白さが目立っていた駐機場は二十数機のグレーの機体で覆われた。移転の本格化に、この日開会した岩国市議会でも安心安全対策などについての質疑が相次いだ。賛否それぞれの立場で訴えてきた市民も思いを強めた。(馬上稔子、藤田智、坂本顕)

 午前11時ごろ、「ゴー」と爆音を響かせて上空を旋回した艦載機が、次々と滑走路に降りた。北側の真新しい格納庫前の駐機スペースを埋め、地上車両や作業員がせわしなく作業に当たっていた。

 市議会議場では同じころ、福田良彦市長が26日に国側から受けた説明や、C2輸送機墜落を受け安全対策の徹底などを申し入れた経緯を報告していた。

 市議からは「米軍機の事故が相次ぎ、移転容認判断の前提が崩れている。撤回を」と批判が飛ぶ一方、「米軍関係者との友好や交流も深めるべきだ」と期待の声が聞かれた。また、「市は米軍機の運用などを24時間監視する態勢をつくるべきだ」との指摘もあった。

 福田市長は「(判断時と)状況は大きく変わっていないと認識している」と説明。「移転後の影響について騒音実態の把握などをして見定めていく責任がある」などと述べた。 艦載機移転を巡っては10年以上にわたり、市民の間でさまざまな議論があった。移転に反対してきた市民団体「住民投票の成果を活(い)かす岩国市民の会」の大川清代表(59)は「東アジア情勢が厳しいとされる中、訓練も激しくなるのではないか。事故などのリスクは格段に高まる」と懸念を強めた。

 受け入れに理解を示す市民団体「岩国の明るい未来を創(つく)る会」の原田俊一会長(85)は「日米同盟と米軍の抑止力を維持するためにはやむを得ない」と強調。「市民に騒音の影響が及ばないよう、行政はきちんと米側に対応してほしい」と注文した。

(2017年11月29日朝刊掲載)

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