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廃絶へ日本は努力を 意見交換で高校生ら訴え

 広島市であった「賢人会議」では、原爆小頭症の被爆者の家族や高校生が各国の委員との意見交換会に臨んだ。被爆地を代表し、核兵器の非人道性や廃絶までの道筋の具体化を訴えた。

 広島の被爆者団体や非政府組織(NGO)の17人が賢人会議の委員15人に対面。冒頭に4人が訴えた。小頭症の被爆者や支援者でつくる「きのこ会」の長岡義夫会長(68)=安佐南区=は、母親の胎内で被爆し、知的障害がある兄が生活に苦労する話を紹介。核兵器によって平和を守るという考えを批判し「最も戦闘から遠い胎児を傷つける核兵器が平和を守れるはずがない」と迫った。

 第20代高校生平和大使の広島大付属高2年、小林美晴さん(17)=南区=は、8月のスイス・ジュネーブ軍縮会議では中国の反対で見送られた英文の演説を披露。原爆で曽祖母を亡くした祖父の悲しみを伝え「日本は核兵器禁止条約を一日も早く批准し、廃絶へ努力を」とアピールした。

 委員からは、ドイツのアンゲラ・ケイン元国連軍縮担当上級代表がNGO核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)へのノーベル平和賞授賞に触れ「市民が核兵器廃絶を後押しできるとの認識が広まる」と期待。一方、米国のジョージ・パーコビッチ・カーネギー国際平和財団副会長は暗に核兵器の違法化の実効性に疑問を投げ掛けた。

 この日、NGOメンバーの一部は国連の中満泉・軍縮担当上級代表(事務次長)とも原爆資料館(中区)で面会。中満氏は「国連と各国政府、市民社会が一つになって初めて核廃絶ができる。悲観論もあるが力を合わせれば可能だ」と強調した。(城戸良彰)

(2017年11月29日朝刊掲載)

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