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北朝鮮新型ICBM 国連軍縮会議 怒りの声 核廃絶議論に水差す

 北朝鮮が弾道ミサイルを発射した29日、被爆地広島で始まった国連軍縮会議の会場では、核兵器のない世界へ向けた議論に水を差す行為に怒りの声が相次いだ。圧力を強める日米両政府への懸念と冷静な対話を望む声も交錯した。(城戸良彰、水川恭輔)

 「目が覚めんか」。広島県被団協の坪井直理事長(92)は、広島市中区の広島国際会議場であった会議に登壇後、報道各社の取材に北朝鮮への憤りをあらわにした。核兵器に加え、戦争の廃絶も参加者へ訴えた直後。多く語らなかったが、悔しさをにじませた。

 会議冒頭であいさつに立った外務省の岡本三成政務官は「北朝鮮の政策変更を求めるため、国際社会が連帯して取り組んでいくことが今まで以上に必要になる」と前置き。「(日本政府も)核兵器廃絶という目標は共有している」とし、国際情勢が緊張する中での軍縮会議の意義を強調した。

 これに対し、傍聴に訪れたもう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(73)は、安全保障を核抑止力に頼り、核兵器禁止条約へ背を向ける日米両政府の姿勢に疑問を投げ掛ける。「北朝鮮も核抑止力に頼ろうとしているのは同じ。危機を脱する話し合いを」

 松井市長は会議で「恒久平和を願う多くの市民を裏切るものだ」と北朝鮮を批判する一方、冷静な議論も求めた。被爆地の対応を問われると「北朝鮮とも市民ベースで、平和に暮らすための話し合いの窓口が開ければいい」と述べ、広島からの貢献にも意欲を表明。会場から拍手が湧いた。

(2017年11月30日朝刊掲載)

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