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「銅蟲」と折り鶴コラボ 地域文化・平和ランプで発信

 広島市立大(安佐南区)とNPO法人千羽鶴未来プロジェクト(中区)が、広島の伝統工芸「銅蟲(どうちゅう)」と折り鶴の再生紙を組み合わせたランプを考案し、販売を始めた。中区の福屋八丁堀本店で25日始まった作品展で展示している。

 同大芸術学部の若山裕昭教授(63)がデザインした。高さ約60センチ。銅蟲の台座に越前和紙を筒状にしたシェードをはめ込む。和紙は原爆の子の像(中区)に寄せられた折り鶴を活用し、福井県越前市の職人がすいている。照明は発光ダイオード(LED)を使う。

 銅蟲は銅板を金づちでたたいて成形する鍛造品。広島では江戸期に栄えた。近年は後継者不足や記念品需要の減少に伴い、技術の伝承が危ぶまれている。

 若山教授は老舗メーカーや市と連携し、商品開発を進めてきた。ランプは親交があった同法人の吉清有三理事(63)と一緒に、「地域文化と平和を願う広島の思いの発信を目指す」と考案した。

 折り鶴を再生紙にするため、千羽鶴の糸を抜いたりする準備は市内16カ所の障害者作業所が担う。近所の児童や住民が手伝うことも。吉清理事は「多くの人の思いが込められたランプ。世界に広がってほしい」と話す。

 交換用の和紙1枚を含め3万4650円。制作費を除く売り上げは作業所に入る。「広島銅蟲」金工作品展は31日まで。ランプはインターネットで購入できる。http://muruku.co.jp/mirai/shop.php(加納亜弥)

(2012年10月26日朝刊掲載)

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