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日本の20世紀遺産20選 番外に原爆資料館も

 世界遺産候補地の調査や評価に当たる国際記念物遺跡会議(イコモス)の国内委員会は8日、後世に引き継ぐべき重要な建造物として「日本の20世紀遺産20選」を発表した。中国地方では、酒蔵などが密集する東広島市西条地区の酒造施設群が入った。20選とは別に、広島市中区の原爆ドームの世界遺産登録に、原爆資料館と平和記念公園を追加する提案もした。

 西条の酒造施設群はJR西条駅南側一帯にあり、明治、大正期の土蔵など72件が国の登録有形文化財となっている。国内委は、造り酒屋の建物のしっくい塗りのなまこ壁やれんが造りの煙突が形づくる街並みを「20世紀に継続発展した伝統産業景観の代表」と評価した。

 選定に携わった国内委委員の東京理科大の山名善之教授は「今も酒造りが続き、生活と共にある文化財。兵庫の灘などに比べても歴史的、文化的な厚みがある」と説明する。東広島市の蔵田義雄市長は「国内有数の景観と認められた証しだ。どう保護し、継承するかを関係団体や地域住民と考えたい」と歓迎した。

 20選では、倉敷市と香川県坂出市を結ぶ瀬戸大橋のうち、坂出市側の連続するつり橋2橋も選ばれた。

 このほか、世界的建築家である故丹下健三氏が設計し、1955年に完成した広島市中区の原爆資料館と平和記念公園を番外に挙げた。被爆という惨禍を伝える原爆ドームに加え、被爆後の広島の復興を象徴する両施設も世界遺産に含めるべきだと提起している。

 イコモス本部は、世界遺産になっている20世紀の建造物が著名な建築家による作品に偏っているとして、日本を含む約30カ国の国内委に20世紀遺産を選定するよう求めていた。国内委は詳細をホームページにも掲載する。(武内宏介、新山創)

日本の20世紀遺産20選
 国際記念物遺跡会議(イコモス)の国内委員会が2013年に専門家10人のワーキング組織を設置し、世界文化遺産の評価基準を適用して初めて選んだ。地元自治体などの関係者に保全と活用の機運を高めてもらうのが目的で、将来の世界遺産登録に直接結び付くものではない。

(2017年12月9日朝刊掲載)

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