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被爆外壁 取り外し工事 広島アンデルセン 保存策検討へ調査

 アンデルセン・パン生活文化研究所(広島市中区)は8日深夜から9日未明にかけて、全館建て替えのため営業休止中の広島アンデルセン(同)旧館で、2階部分に残る被爆外壁の一部分を取り外す試験工事をした。今後、保存に向けた具体策を検討する。

 旧館は、本通り商店街に残る唯一の被爆建物。商店街に面した縦1・7メートル、横1・5メートル、厚さ0・6メートルの外壁をワイヤソーで慎重に切り取った。コンクリート製で重さは約4・3トン。クレーン車でトラックに載せ、広島県内にある工事業者の倉庫に運んだ。多くの人が足を止めて作業を見守った。

 切り取りや輸送時の振動に加え、しばらく倉庫で保管し、劣化しないかどうかなどを調べる。その結果を基に、保存や利用の方法を絞り込む。

 旧館は1925年に建てられ、帝国銀行広島支店だった45年に被爆した。67年にアンデルセングループが取得し、パンの販売や外食店の運営をしてきた。老朽化や耐震性の問題から昨年1月に通常営業を終えた。

 広島アンデルセンは近くの仮店舗で営業しており、2020年度の再オープンを目指している。アンデルセン・パン生活文化研究所は「旧館を愛していただいた市民の思いに応えられるよう、保存の方法を検討していく」としている。(吉原健太郎)

(2017年12月10日朝刊掲載)

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