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記憶を生かす 戦後伐採 福島町の被爆クスノキ 住民有志が証言集

 被爆し、戦後伐採され広島市西区福島町のシンボルだったクスノキを後世に伝えるため、住民でつくる「地域探訪・くすのきの会」が、伐採前後の写真や樹木にまつわる証言をまとめた冊子「くすのきの記憶」を作った。

 同会によると、樹木は爆心地から約1・8キロの旧福島町電停のそばにあり、原爆で一部が燃えながら生き残った。戦後枯れたため1968年ごろに伐採されたが、高さは約15メートル、幹回りは最大約8メートルで、樹齢は400年を超えていたという。

 冊子はA5判、60ページ。同電停から戦地に赴く兄を見送った女性や原爆投下から3日目の朝、木の下で息絶えた人を見つけて手を合わせた女性の証言なども掲載した。

 同会は昨年10月、有志16人で結成し、住民21人から証言を聞き取り編集した。村田康昭代表(75)は「戦後復興の過程の中で消えていったクスノキを人々の記憶に残したい」と話す。冊子は1冊300円で販売している。問い合わせは市西地域交流センター☎082(231)1472。(小笠原芳)

(2017年12月10日朝刊掲載)

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