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死後20年 国、和解応じず 在外被爆者訴訟 広島地裁で結審

 海外に住む被爆者が、健康管理手当の受給権を認められなかったのは不当として国に慰謝料を求めた集団訴訟のうち、請求権が既に消滅したとして国が和解手続きに応じていない被爆者女性の遺族による訴訟の口頭弁論が11日、広島地裁であり、結審した。判決は来年2月28日。

 弁護団によると、女性は広島で被爆し、台湾に移住した。海外居住を理由に同手当の受給権を失うと定めた1974年の旧厚生省の通達で申請を断念し、94年に亡くなった。

 通達を違法とした最高裁判決が2007年に確定したのを受け、遺族4人が15年9月に提訴した。しかし、国は昨年9月以降、同種集団訴訟において、死後20年が経過した場合は民法で請求権が消える「除斥期間」に当たるとして、和解に応じない方針に転換している。

 この日は、集団訴訟の原告のうち、韓国に住む71~83歳の被爆者9人と国との和解が成立した。国は被爆者1人につき110万円を支払う。(有岡英俊)

(2017年12月12日朝刊掲載)

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