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サダコの絵本 中国語に翻訳 広島のNPO

 国際理解や平和教育を進めるNPO法人「ANT―Hiroshima」(アント、広島市中区)は、白血病を患い被爆から10年後に12歳で亡くなった佐々木禎子さんを描いた絵本「おりづるの旅」(PHP研究所)を中国語に訳した。日中友好に役立ちたいと、中国・内モンゴル自治区出身で東北大に留学中の董雅楠さん(22)が協力した。

 絵本は2003年に出版。回復の願いを折り鶴に託しながら亡くなった禎子さんの同級生たちが「原爆の子の像」の建立運動を始めたことや、折り鶴が平和を祈る象徴として世界に広まったことなどを紹介している。

 董さんは8~9月の2週間、ひろしまNPOセンター(中区)が企画した、東日本大震災の被災地の若者が原爆投下から復興した広島に学ぶインターンシップに参加。その間アントで職場体験した時、中国語に訳した。

 著作権などの関係で翻訳版の出版は困難だが、訳文を絵本に貼ることは出版社が許可。中国語訳は当面、4冊作った。希望者がいれば追加で作製し、実費で提供する。

 董さんは上海の同済大からの交換留学生。来年春、同大に戻った際、日本語と中国語の計2冊を図書館に贈る。「罪のない人が犠牲になる戦争は、絶対にいけないということを伝えたい」。アントの渡部朋子代表(58)は「平和を築きたいという子どもたちの希望は政治の壁を越えて心に届く」と期待している。

 アントは、これまでに「おりづるの旅」をアフガニスタンで使われているダリ語や、ネパール語、英語、ドイツ語など11の言語に訳している。アントTel082(502)6304。(増田咲子)

(2012年10月29日朝刊掲載)

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