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[イワクニ 地域と米軍基地] 岩国拠点に低空飛行 普天間のオスプレイ

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の輸送機オスプレイが、岩国市の岩国基地を拠点として低空飛行訓練などをしている可能性があることが18日、分かった。同基地が公式ホームページ(HP)で、オスプレイを運用する第262海兵隊中型ティルトローター(傾斜式回転翼)機飛行隊が同基地で訓練を始めたと伝えた。

 岩国基地には7日、オスプレイ4機が到着し、駐留を続けている。陸上自衛隊の大矢野原演習場(熊本県山都町)での日米共同訓練(8~20日)の参加に合わせた飛来で、基地を使用する理由について中国四国防衛局は「機体整備などのため」と地元自治体に説明していた。

 基地HPに掲載された13日付記事によると、訓練開始は9日。飛行隊員は「飛行規制が沖縄ほど厳しくなく、沖縄ではできない訓練が可能。敵の探知などから逃れるため、通常より地上にかなり近づく戦術的な低空飛行訓練をしている」と同基地周辺のメリットに言及。さらに沖縄にはない寒さが機体の防氷装置の働きを確認する上で役立つなどとしている。

 訓練を始めた9日午後2時15分前後、オスプレイ2機が広島市安佐南区上空を北向きに飛び、数分後に南へ戻る様子を中国新聞記者が目撃した。同2時すぎに同基地を離陸した2機とみられ、熊本とは逆方向へ飛行した目的は不明。肉眼ですぐにオスプレイと判別できる高度で、低空飛行訓練中だった可能性がある。

 岩国基地は、オスプレイが普天間から他基地などを往来する際の主な中継地とされ、飛来は頻繁に目撃されている。中国四国防衛局は「これまで岩国を拠点とした訓練が確認された例はない。HPの内容を含めて事実関係を確認中」と説明。九州防衛局は、日米共同訓練での低空飛行訓練の有無について「米軍の運用に関わるため承知していない」とする。

 垂直に離着陸可能なオスプレイを巡っては昨年12月、沖縄県名護市沿岸部で不時着、大破する事故が発生。今年8月にはオーストラリア沖で墜落し、乗員3人が死亡した。同月はさらに、岩国基地で白煙を上げた機体が翌日に大分空港(大分県国東市)で緊急着陸するなどトラブルが相次いでいる。(松本恭治、菊本孟)

(2017年12月19日朝刊掲載)

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