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核廃絶願い「平和の森」 被爆樹木や2世の木植える

 広島市中区の本川小の校庭に来月、被爆樹木や、その種から育つなどした木を集めた「平和の森」が完成する。29日、最後の6本目の被爆クスノキの2世を植えた。市内で爆心地に最も近かった小学校。核兵器廃絶を願い、平和を発信する新たな場になる。

 森は校庭西側の約50平方メートルに設ける。この場所には被爆したニワウルシ(高さ約12メートル)があり、そばに被爆翌年に芽吹いたニワウルシ(約8メートル)がある。被爆アオギリ2世の2本(いずれも約5メートル)も1992年に植えられた。

 4月に着任した河野一則校長が、さらに被爆樹木を植えて「森」にすることを発案。関係者に寄贈を呼び掛け2件の申し出があった。

 29日に植えられたのは、爆心地から約2・1キロの中区白島北町で被爆したクスノキの2世(約0・6メートル)。西区の樹木医堀口力さん(67)が自宅で種子から育てた。堀口さんは「平和教育に役立ててほしい」と願う。

 8月には中区西川口町の画家開(ひらき)由利さんから、自宅の被爆アラカシ(約5メートル)を譲り受けた。

 教諭や児童たちが今後、一帯の草むしりをしたり、看板を設置したりして整備する。同小は11月11日、完成記念式典を開く予定だ。

 同小には、爆心地から410メートルで被爆に耐え、現在は平和資料館として活用されている旧校舎があり、修学旅行の児童、生徒を中心に年間約2万人が訪れる。河野校長は「児童が来訪者に森を案内することを通し、平和の大切さを考えてほしい」と話している。(山本乃輔)

(2012年10月30日朝刊掲載)

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