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「井伏・重松の思い」発信 神石高原有志 来年「黒い雨」プロジェクト

 福山市出身の作家井伏鱒二の生誕120年となる来年、井伏の小説「黒い雨」の舞台の一つ、神石高原町の住民有志たちが、小説を広め、平和を発信するプロジェクトを始める。町内で演劇や映画観賞を開く計画。19日、実行委員会が同町で発表した。

 実行委は11月に発足。小説のモデルの故重松静馬氏のめいの夫重松文宏さん(81)=同町=が会長を務める。来年春には、黒い雨の映画かドラマの観賞会を同町で予定。夏には被爆者の体験談を基に原爆の絵を描く基町高(広島市中区)の取り組みを演劇にした東京の劇団「青年劇場」の公演を、同町で開く計画だ。

 黒い雨の誕生前、井伏と静馬氏は書簡を交わしており、実行委は書簡を基にした演劇の制作も依頼している。重松会長は「井伏、重松の思いを伝え、地元の関心も高めたい」と意気込む。

 同町で地域おこしに携わる地域システム創造研究所(東京)の大越貴之社長(46)が、実行委の事務局長を務める。大越さんは「神石高原町の文化遺産を発信する機会。広島市とも行政、民間レベルで連携していきたい」と話している。(高本友子)

(2017年12月20日朝刊掲載)

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