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原爆症認定検討会 残留放射線 考慮できず、被団協 現制度に異議

 原爆症認定制度の在り方に関する検討会の第16回会議が30日、東京都内であった。現行認定制度の存廃をめぐり出されている三つの選択肢を前回に続き議論。廃止を主張する日本被団協は、現行制度では残留放射線の影響を考慮できないことをあらためて訴えた。

 被団協は現行制度を廃止し、全被爆者向けの「被爆者手当」を創設し、病状で加算するよう提案している。他の2案は制度存続が前提で、原爆と病気との関連(放射線起因性)を否定しきれないケースを別に扱う▽対象の病気を拡大する―などを軸にしている。

 被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長は、原爆症認定集団訴訟の多くの判決が残留放射線の影響を認め、国の認定と隔たりがあると指摘。現行制度を続ける選択肢に疑問を示し、「入市や遠距離での被爆者を救える認定の在り方を考えるべきだ」と述べた。

 しかし、一部の委員が、残留放射線の影響について最新の科学的知見を聞くべきだと発言。委員の多くは専門外で「残留放射線をどう考慮するか決めるのは無理がある」とし、新たな制度案は詰められなかった。(岡田浩平)

(2012年10月31日朝刊掲載)

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