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「いしぶみ」英訳者 生徒原爆死 記録後世に 観音高で講義

 旧制広島二中(現観音高)の生徒の原爆死を追った書籍「いしぶみ」を英訳した、オーストラリアのシドニー大名誉上級講師クレアモント康子さん(73)が21日、広島市西区の同校を訪問し、1年生40人に日本語で講義をした。

 クレアモントさんは「いしぶみ」を「後世に残していくべき記録だ」と評価。出版社の依頼で担当した英訳について「言い回しなどを忠実に伝えられるよう、本を読み込んだ。犠牲者が子どもと分かるよう表現も工夫した」と説明した。

 国連で採択された核兵器禁止条約や、制定に力を入れた非政府組織(NGO)のノーベル平和賞受賞など今年の動きにも言及した。「核廃絶へ向け、市民一人一人が行動していこう」と呼び掛けた。

 「いしぶみ」は、建物疎開作業に動員され、原爆死した二中1年生323人の遺族の手記をまとめた書籍。千振優佳さん(15)は「本を読み、二中で大勢の人が亡くなったと知った。英語で正確に伝えるための工夫がすごいと感じた」と振り返った。(政綱宜規)

(2017年12月22日朝刊掲載)

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