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回天の英語本 和訳し出版 周南の顕彰会 日米双方の視点 記録

 周南市の回天顕彰会は、元米軍人の息子たちが旧日本海軍の特攻兵器「回天」についてまとめた英語書籍「KAITEN」を日本語訳し、自費出版した。日米双方の視点で西太平洋での回天戦を記録した貴重な史料で、顕彰会の原田茂会長(79)は「ようやく出版が実現した。多くの方に読んでほしい」と話している。

 同市大津島の基地から初出撃した回天の「菊水隊」が1944年11月20日、西太平洋のウルシー環礁で米軍の給油艦ミシシネワを撃沈。本書では、攻撃を受けた米軍側の緊迫感や乗組員救助の詳細な様子に加え、日本側が回天を開発した経緯、搭乗員の思いなども収めている。英語版の掲載写真は巻末にまとめた。

 A5判、378ページ。表紙には英語版と同じミシシネワが撃沈された際の写真が載る。発行日は回天が初出撃した11月8日とし、中学生でも読めるよう平易な表現にしている。

 英語版は米国で2014年に出版された。著者の一人でミシシネワの元乗組員の息子、マイケル・メアさん(ウィスコンシン州)が「日本人にも回天が米軍人に与えた衝撃を伝えたい」と、知人を通じて顕彰会に翻訳出版を依頼。約1年9カ月かけて実現させた。

 1300冊を用意し、同市みなみ銀座の観光案内所「まちのポート」で購入できる。2700円。市に50冊寄贈し、回天搭乗員の遺族や各都道府県立図書館などにも贈る。(高田果歩)

(2018年1月10日朝刊掲載)

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