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核兵器廃絶 広島は希望 ICAN事務局長 フィン氏訪問

 核兵器禁止条約の制定に貢献し、昨年のノーベル平和賞を受けた非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))のベアトリス・フィン事務局長(35)が15日、広島市中区の平和記念公園を訪れた。原爆被害や平和活動を見聞きし、核兵器の廃絶へ「広島、長崎は希望の都市」と強調。保有国を含む各国へ首脳の被爆地訪問と、条約加盟を呼び掛けた。

 広島訪問は初めて。ICANの川崎哲(あきら)国際運営委員(49)と原爆慰霊碑へ花輪を手向け、原爆資料館で街の壊滅を伝えるCGや学徒の遺品を見学。広島国際会議場では、被爆者の小倉桂子さん(80)=中区=から、原爆で大やけどした市民の姿や廃絶の願いを聞いた。報道各社の取材に「証言を聞くのは心が痛むが、決意を新たに、変化をもたらす希望を抱いた。世界各国へキャンペーンを強化したい」と語った。

 若者たち市民約340人が訪れた、同会議場での対話集会(市など主催)では、条約を後押しした被爆者たちの活動をたたえた。一方、使用の敷居を下げかねない米国の新たな小型核開発を懸念し「近年の歴史で核使用に最も近いところにいる」と指摘。解決へ「全ての国が核兵器禁止条約に参加し、廃絶を」と訴えた。政治指導者の被爆地訪問の必要性にも触れた。

 署名集めなどの平和活動を発表した若者4人へは、会員制交流サイト(SNS)の活用や、条約に背を向ける日本政府に政策転換を促すための政治家への働き掛けの重要性を助言。発表した広島女学院高2年本藤悠理さん(16)=南区=は「毎日の活動は地味で疑問に思うこともあるけど、ICANは地道な活動を積み重ねた。フィンさんの言葉を後輩に伝えたい」と前を向いた。(水川恭輔、城戸良彰)

(2018年1月16日朝刊掲載)

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