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核禁止条約署名求める 政府にICAN事務局長

 昨年のノーベル平和賞を受賞した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))のベアトリス・フィン事務局長(35)は16日、国会内で日本政府代表や国会議員との討論集会に参加した。日本が核兵器禁止条約に署名するよう求め、国会に条約と安全保障政策の関係を調べる委員会を設けるよう提案した。

 集会は核兵器廃絶日本NGO連絡会の企画。外務省の佐藤正久副大臣のほか、各政党、各会派から代表の国会議員10人が出席した。国内のNGOメンバーやその他の与野党の国会議員約120人も同席した。

 フィン氏は「核戦争の代償を知る唯一の国である日本こそが条約に署名し、核軍縮をリードしてほしい」と注文。まず国会に調査委を設け、日本の安全保障政策が、条約と合わない部分があるかどうかなどを検証するよう提起した。

 これに対し、佐藤副大臣は北朝鮮が核ミサイル開発を進めている現状に触れ、「条約は現実の安全保障環境を踏まえずに策定された側面があり、署名できない」と説明。自民党の武見敬三参院政策審議会長も「防衛体制を整えないと国民の命を守れない。(米国の)『核の傘』に頼らないといけない」と述べた。

 フィン氏提案の調査委設置には、公明党の山口那津男代表や立憲民主党の福山哲郎幹事長たち与野党の複数の議員が理解を示した。

 集会終了後、都内の日本記者クラブで記者会見したフィン氏は「被爆地の価値観と日本政府の政策には大きなギャップがある。条約に署名するよう、国民が政府に求めてほしい」と呼び掛けた。(田中美千子)

今後の活動に湯崎知事期待

 広島県の湯崎英彦知事は16日の記者会見で、ICANのベアトリス・フィン事務局長の15日の広島市訪問を受け、「被爆者と接した経験などをベースに活動を続けてほしい」と今後の活動に期待した。

 また、核兵器廃絶に向けた具体的な行動が課題として「みんなで協力して進めることができたらと思う」と述べ、ICANや県などの幅広い連携の重要性を強調した。

(2018年1月17日朝刊掲載)

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