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福島に4月 救急医派遣 広島大病院 医療体制の整備支援

 広島大病院(広島市南区)は4月から、救急医1人を、福島県富岡町の県ふたば医療センター付属病院へ派遣する。同町は昨年4月、東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が解除されたが、住民の帰還は停滞しているという。4月に付属病院を新設して医療体制を整え、住民の帰還と復興を加速させたいとする同県の求めに応じた。

 救急医は福島に1カ月間滞在し、付属病院に救急搬送される患者の病気やけがの治療などに当たる。その後2カ月間は広島に戻り、再び福島で1カ月間勤務するパターンを繰り返す。

 同町や周辺地域の救急医療の充実に貢献するほか、付属病院を運営する福島県立医科大(福島市)の医師たちの負担軽減も図る。

 同町は、第1原発が立つ大熊町の南隣に位置する。原発に近いエリアの帰還困難区域は残るが、避難指示は解除された。福島県は、住民が安心して故郷に戻るには医療体制の確保が欠かせないとして、付属病院の整備を決定。広島大に人的支援を求めていた。

 福島県の内堀雅雄知事は8日、広島大病院で同大の越智光夫学長と会談した。「救急医療体制の向上は、帰還する住民にとって、復興を前進させる光となる」と協力に感謝した。

 広島大病院の同県への医師派遣は、2016年からの内科医に続き2人態勢となる。越智学長は「被爆地としての教訓や蓄積を踏まえ、今後も福島に寄り添う医療支援を続けたい」と応じた。(奥田美奈子)

(2018年2月9日朝刊掲載)

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