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駆逐艦「磯風」発見か 東シナ海の海底「撮影 極めて貴重」

太平洋戦争末期に大和と沈没

 太平洋戦争末期、戦艦大和とともに沖縄特攻に参加して沈んだ旧日本海軍第二艦隊の駆逐艦「磯風」とみられる艦船が、東シナ海の海底で見つかったことが8日、分かった。専門家は「海底の駆逐艦をきちんと撮影した例は極めて少なく貴重だ」と話している。(今井裕希)

 2016年5月に呉市の委託を受け、大和の潜水調査をした呉市発祥の海洋開発事業会社深田サルベージ建設(大阪市)が発見した。大和の調査後、同社が周辺海域で独自調査をして、同月に発見した。

 発見場所は、大和から北東約10キロ、深さ約440メートル。磯風は艦首付近の右舷を海底に着けた状態で沈んでいた。船底に設置された、特徴的な4連装魚雷発射管や、3連装機銃などを確認した。同社は「腐食で傷みが相当進んでいる」とする。

 大和ミュージアム(呉市)の戸高一成館長は「装備や沈んでいた位置、破壊状況から見て磯風の可能性が極めて高い」とみる。第二艦隊で沈んだ6隻のうち、大和以外の艦船が発見されたのは初めて。

 磯風の主砲の照準係で当時救助された広島県世羅町の橋本武生さん(93)は「見つかってうれしい。可能なら慰霊に行きたい」と話していた。

 同社中国支社(呉市)の花戸忠明支社長補佐は「大和だけが注目されてきたが、磯風をはじめ第二艦隊で犠牲になった人も多い。これを機に多くの人に知ってほしい」と話している。

駆逐艦「磯風」
 全長111メートル、幅10・8メートル。基準排水量2500トン。1940年に佐世保海軍工廠(こうしょう)で完成した。ミッドウェー海戦やレイテ沖海戦など多くの作戦に加わった。45年4月に戦艦大和など9隻とともに沖縄特攻に参加。米軍機の攻撃で大破し航行不能になったため、駆逐艦「雪風」によって砲撃処分された。戦闘詳報によると、乗員364人のうち、20人が犠牲となった。

(2018年2月9日朝刊掲載)

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