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「廣島名所」そろった16枚 90年前の写真絵はがき発見

三原の実家で広島大名誉教授 紙屋町交差点や広島城

 約90年前、大正末から昭和初頭の広島市内の写真16枚がセットの絵はがき「廣島(ひろしま)名所」が、欠けることのない状態で同市佐伯区、広島大名誉教授田中正道さん(75)の三原市内の実家に残されていた。この頃の絵はがきのセットは広島県立文書館や広島市公文書館にもなく、現在の原爆ドームである県立商品陳列所で買ったことやその時期が記されていることと併せ貴重な資料―と専門家は指摘している。(客員編集委員・冨沢佐一)

 広島城や広島高等師範学校(広島大の前身校の一つ)などのモノクロ写真16枚のセットで、発行所は「廣島□〇(かくまる)堂」。絵はがきの袋の裏に田中さんの父位一(いいち)さん(1999年に87歳で死去)が27(昭和2)年、尋常高等小の修学旅行の記念に県立商品陳列所で買ったと書いている。

 紙屋町交差点(中区)の写真では道路の中に建物があり、1階が待合所、2階が電車のレールのポイントを切り替える作業の詰め所だったのが読み取れる。広島城外郭(そとぐるわ)の樹木が残っていたのも分かる。本通り商店街(同)には25(大正14)年に設けられた街路灯「すずらん灯」が見える。

 絵はがきは、田中さんが三原市内の実家の土蔵を整理していて見つけた。県立文書館や広島市公文書館にも同種の絵はがきはあるがばらばらに収集されたものが多く、印刷・販売年もほとんど分からない。市公文書館の渡辺琴代主幹は「16枚全部がそろい年代や由来がはっきりしている。写真も鮮明、当時を知る貴重な資料」と話している。

(2018年2月12日朝刊掲載)

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