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「すず」嫁ぎ先 観光地に 「この世界の片隅に」主人公 原作者が市に寄付

 アニメ映画「この世界の片隅に」で、主人公すずが暮らす家のモデルとなった呉市畝原町の住宅跡が、観光スポットに生まれ変わる。原作者こうの史代さんの祖父母宅があった土地。こうのさんから寄付を受けた市の計画では、整備は2018年度内に完成する。

 一帯は灰ケ峰の中腹にある住宅密集地。市街地が望める。原作漫画と映画では、住宅はすずの嫁ぎ先として描かれ、木造平屋がほぼ忠実に再現されていた。老朽化で数年前に取り壊され、現在は更地の状態だ。

 計画では、市は「すずさんに逢(あ)える丘(仮称)」として整備する。こうのさんの意向を聞きながら、かつて家があった箇所をコンクリートブロックで固め、台所や風呂場などの間取りが分かるようにする。上屋は建てない。実物大の間取り図のような印象だ。庭先には花壇を造り、印象的な場面で登場するタンポポを植える。近隣住民に配慮してフェンスも設ける。

 映画のヒット後、この住宅跡を訪れる人が増えた。こうのさんは「受け入れ態勢を整えてほしい」と17年に土地を寄付した。市は18年度一般会計当初予算案に事業費790万円を盛り込んでいる。こうのさんは「物語の世界を身近に感じることができて、気軽に立ち寄れる場所になってほしい」と願っている。(見田崇志)

(2018年2月15日朝刊掲載)

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