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被爆体験伝承者 全国に無料派遣 朗読ボランティアも 追悼祈念館が18年度から

 被爆の実態を広めようと、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)は2018年度から、市が養成した「被爆体験伝承者」と、被爆体験記や原爆詩を朗読するボランティアを、全国に無料で派遣する事業を始める。3月1日から申し込みを受け付ける。(野田華奈子)

 伝承者は、高齢化する被爆者の記憶を次代に語り伝える人材を増やすため、市が12年度から養成。現在89人が活動しており、原爆資料館(中区)では休館日を除く毎日、伝承者による日本語と英語の講話がある。祈念館に登録している朗読ボランティアは82人いる。

 派遣先は、市内を除く全国の学校、団体などが実施する平和学習の研修会やイベントを想定。祈念館側が伝承者や朗読ボランティアへの謝礼金と旅費を支払い、会場費など運営に関する費用は主催者の負担となる。

 厚生労働省が新年度予算案に長崎の祈念館分と合わせて3千万円を計上。この予算内で原則、受け付け順に派遣し、日程などが重なった場合は調整する。平和首長会議の加盟都市を通じ、海外への派遣も予定している。

 広島の祈念館は「被爆の実相を広く伝え、核兵器廃絶と恒久平和実現に向けた世論を一層喚起したい」と活用を呼び掛けている。申し込みは同館☎082(207)1202。

(2018年2月16日朝刊掲載)

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