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[イワクニ 地域と米軍基地] 米軍 西中国山地空域訓練事前通告752日 地元 連絡求める声

 在日米軍が西中国山地の訓練空域「エリア567」を使う予定日時を自衛隊に事前通告し、その日数は2014~16年の3年間で計752日だったことが、防衛省の開示資料で分かった。年平均250日で、1年のうちの7割近くに上る。米軍の同空域の使用について、自衛隊が事前に把握している実態が浮き彫りになった。騒音被害に悩む地元からは、「不安解消につながる」として予定日を事前に連絡するよう求める声が上がっている。(久保田剛)

 中国新聞が同省に情報公開請求し、資料を入手した。資料によると、米軍が使用を通告した日数は、14年238日(計約1321時間)▽15年243日(計約1569時間)▽16年271日(計約1949時間)。月別の最多日数は29日(16年3月)、最少は8日(14年2月、15年2月)。

 空域直下の地域で問題になっている低空飛行訓練を巡っては、日米両政府は週末や祝日の実施を「必要不可欠な場合に限る」ことで合意。しかし、予定日が週末や祝日だったケースは3年間で計123日あり、全体の16%を占めていた。

 予定日に実際に訓練したかどうかについて、米軍岩国基地(岩国市)は「米軍機の運用は保安上の理由から話していない」とした上で、「運用は全て、即応態勢を維持するため欠くことはできない」と説明する。同基地所属機は同空域での訓練が確認されている。

 エリア567は米側の呼称で、本来は自衛隊の訓練空域。日本政府はこれまでの国会答弁などで、米軍が自衛隊の訓練空域を飛行する際、事故防止のため調整していることを認めていた。

 自衛隊が把握している米軍の使用予定日について、同空域がかかる浜田市など島根県西部5市町などは16年度から、日本政府に対し、地元へ事前に知らせるよう要請している。しかし、防衛省は「調整内容は米軍の運用上の情報であり、事前公表する立場にない」と繰り返している。

 浜田市安全安心推進課は「突然のごう音は、住民に大きな負担を強いる。せめて訓練日が事前に分かれば何らか対策を講じる余地もある」と指摘する。

エリア567
 廿日市市北部、島根県邑南町、萩市沖の上空を各頂点とする三角形の空域。自衛隊が運用している訓練空域であり、広島県では廿日市市、北広島、安芸太田両町、島根県は浜田、益田、江津の3市と川本、邑南両町、山口県は岩国市北部などがかかるとみられている。

(2018年2月18日朝刊掲載)

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