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ロボット兵器 漫画で学ぼう ICAN川崎哲さんら共著 知識や人道上の問題紹介

 最新技術を駆使した兵器がはらむ人道上の問題を考えてもらおうと「マンガ入門 殺人ロボットがやってくる!?」が出版された。

 国際非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の国際運営委員を務めるピースボートの川崎哲(あきら)共同代表、元ピースボートのスタッフで科学技術史を研究する畠山澄子さん、そして漫画家の新名昭彦さんの共著。

 小学5年の男の子と家庭教師の大学院生が日常の視点でさまざまな問題を語り合う。その一つが無人機。米軍のテロ掃討作戦で空爆に使用され、多くの市民を巻き添えにしている。さらに機械が自ら判断して動く「完全自律型」のロボット兵器開発も危惧される。

 こうした兵器に使われる衛星利用測位システム(GPS)や人工知能(AI)などは、身近な民生用技術と一体だ。漫画では基本的な知識に加えて日本企業も容易に兵器開発に加担してしまう危うさ、科学者と技術者の倫理観が問われていることも指摘。一人一人にできることを考える。

 これらの兵器は規制を求める議論が国際社会で盛り上がり始めたが、日本人の関心は非常に薄い。川崎さんは「核兵器の禁止条約が実現した今、さらなる非人道的な兵器への関心が広島でも広がってほしい」と願う。B5判、88ページ、合同出版。1380円。(金崎由美)

(2018年2月19日朝刊掲載)

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