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被服支廠ひさし 応急修繕 広島 国所有の1棟 保存・活用策なお未定

 広島市内で最大規模の被爆建物、旧陸軍被服支廠(ししょう)(南区)で、劣化した屋根のひさしの修繕工事が進んでいる。現存する4棟のうち国が所有する南東の1棟で、修繕は約700万円の「応急処置」。保存や活用の方向性は依然定まっていない。

 国所有の1棟は、県所有の3棟と同じ鉄筋れんが造り3階建てで、延べ4985平方メートル。屋根のひさし裏のモルタルの一部が剝がれており、管理する中国財務局(中区)が「南側の市道を通行する人に直撃する恐れがある」として昨年10月から修繕を進めている。工期は今月末まで。

 被服支廠を巡っては、県が1月、昨年の耐震性調査の結果を受け、所有する3棟のうち最も北側の1棟を約4億円かけて補修し、活用策を探る方針を固めた。各棟とも耐震基準を満たしておらず、県は耐震化に1棟約23億円かかると試算している。財務局は、国の1棟も同程度の費用がかかるとみている。

 財務局の橋本睦弘・上席国有財産管理官は「貴重な被爆建物でもあり、危険だから即解体というわけにはいかない。ただ、活用には高額な費用がかかるので、県や被爆建物を所管する市と協議して今後の在り方を検討したい」としている。(樋口浩二)

(2018年2月21日朝刊掲載)

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