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「NPT体制 形骸化」 広島市長 米の核新戦略批判

 広島市の松井一実市長は21日、トランプ米政権が今月公表した新たな核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」で核兵器の役割を拡大する方針を示したのを受け、「核拡散防止条約(NPT)体制を形骸化させかねない」と批判した。市議会総括質問で答えた。

 松井市長は、NPTに加盟する米国は核軍縮に誠実に取り組む約束をしていると指摘。「非人道的な脅しで国を守るという発想を根底からなくしてもらうため」としてトランプ大統領に被爆地訪問を呼び掛ける考えをあらためて示した。 米軍岩国基地(岩国市)などを行き来する米軍機の市内での目撃件数も取り上げられ、市民局の谷本睦志局長が本年度は15日時点で33件に達したと説明。昨年度1年間の5件を上回り、12月以降に29件が集中したという。谷本局長は「県などと連帯し日米両政府に適切な対応を求めていく」と述べた。(城戸良彰)

広島の市民団体 抗議声明を送付 日本政府にも

 市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」(HANWA)は21日、「核体制の見直し(NPR)」を公表した米国と、それを歓迎する姿勢の日本政府への抗議声明を東京の米国大使館や首相官邸へ送った。

 小型核開発などを盛り込むNPRを「廃絶に逆行」などと批判。河野太郎外相がNPRを「高く評価」とした点を「非人間的極みの体験をさせられた日本こそが真っ先に反対の声を上げるべき時」としている。

 森滝春子共同代表は「NPRは危険極まりない、核戦争をほうふつとさせる中身。広島から声を上げないといけない」と訴えている。

(2018年2月22日朝刊掲載)

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