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騒音把握や防音対策 広島県 米軍交付金の使途例示

 在日米軍再編に伴う米軍岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転を受け、広島県が国に都道府県向け交付金の支給を求めている問題で、県は27日、交付金の使い道の想定を明らかにした。米軍機の低空飛行訓練による騒音被害の把握や、学校などへの防音対策への活用を挙げた。

 県議会一般質問で小寺洋・地域政策局長が答弁した。小寺局長は、想定する交付金の活用策を述べた上で、「艦載機移転で事件事故の増大はもとより、住民の不安が増すことがないよう、県民が生活する地域での低空飛行訓練の中止を求める」と強調した。

 また、日米地位協定に低空飛行訓練の休日、夜間の制限などの規定が明記されていないことを問題視。「関係市町の意見を聞きながら、(米軍基地や関連施設を抱える15都道府県でつくる)渉外知事会などを通じて改正を国に働き掛けたい」と述べた。

 交付金を巡っては、湯崎英彦知事が1月の記者会見で「山口は県と市町に交付金があり、対策を講じている」と支給を求める考えを表明。市民団体から「交付金を受け取れば低空飛行訓練の容認につながる」と反発の声も上がっている。(樋口浩二)

廿日市市長は求めない考え

 廿日市市の真野勝弘市長は27日の市議会一般質問で、在日米軍再編に伴う市町村向けの交付金について「市民の安全、安心はお金では買えない」と述べ、国に求めない考えを明らかにした。

 再編への協力度合いに応じて支給される交付金は、広島県内では同市に隣接する大竹市だけが受け取っている。真野市長は交付金の支給を求める意向がないとした一方、市が独自に設けている騒音測定器について「実費を国へ求めたい」と述べた。

 岩国基地への空母艦載機移転を踏まえ、広島県が都道府県向けの交付金を国に求める考えを表明したことにも触れた。県の意向に対する賛否には言及せず、「法律などで対象自治体が規制され、新たな自治体への交付へ向けた条件整備は相当困難と感じる」との見解を示した。

(2018年2月28日朝刊掲載)

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