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原発30キロ圏 避難先公表 島根県 県外も指定 全国初

 島根県は21日、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の事故に備え、原発30キロ圏の県内4市に住む約39万6千人の詳細な避難先を定めた避難計画を公表した。避難先となる県内と広島、岡山、鳥取の中国地方4県70市町村から、学校や公園など一時的な避難場所計149カ所を選んだ。県外にも避難先を指定した計画は全国で初めてという。(樋口浩二)

 30キロ圏の松江、出雲、雲南、安来の4市94地区の住民が、公民館や支所単位でまとまって避難できる小中高校や公園、道の駅を示した。原子力規制委員会による防災指針の改定で原発30キロ圏が原子力災害対策重点区域となったことを受け、全て30キロ圏外とした。

 広島県内では松江、出雲、雲南各市の16万8900人の受け入れ先として、大崎上島町を除く計14市8町から施設を選定した。このほか、島根県5市7町(受け入れ12万5450人)岡山県全15市10町2村(同10万1200人)の施設を選んだ。鳥取県8町1村の施設は予備の避難先とした。

 最終的な避難所に到着する前の経由所との位置付けで、長期間過ごす避難所は年度内の決定を目指す。

 ただ、自力での避難が困難な社会福祉施設の入居者や入院患者の避難場所は県内と広島、山口、岡山県の施設と病院などで別に確保する計画。現時点では決まっていない。

 また、自家用車での避難が集中した際の渋滞対策も課題。放射性物質の付着を検査するスクリーニングの実施方法は「規制委の方針待ち」(島根県避難対策室の若槻真二室長)と、安全な避難に向けたハードルは高い。

 島根県がこの日、30キロ圏の鳥取県と、島根、鳥取両県の6市を集めた原子力防災連絡会議を松江市で開き、報告した。昨年3月の福島第1原発事故を受け、同5月から避難計画の策定を進めていた。

(2012年11月22日朝刊掲載)

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