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ヒロシマ紡ぐジャズ魂 ハンコック幻の名曲披露 喫茶ムシカ

戦後史伝える場で追体験

 ヒロシマをテーマにしたジャズ音楽にスポットを当てる演奏会が12月7日、広島市南区の音楽喫茶「ムシカ」である。ジャズ界の大御所ピアニスト、ハービー・ハンコックらが残した名曲をよみがえらせる。(上杉智己)

 「ヒロシマと音楽」委員会(中区)が主催する「ヒロシマ・音の記憶」シリーズの3回目。これまで合唱曲やクラシック音楽を中心に取り上げてきた。能登原由美委員長は「即興に重きを置くジャズの演奏家が実際に広島を訪れて何を感じ、曲に託したか、思いを巡らせたい」と意義を話す。

 会場の「ムシカ」は旧店舗の「第九伝説」で知られる。原爆投下の翌年の師走に、ベートーベン交響曲第9番のレコードコンサートが人々を励ました。「戦後の歴史を感じさせる場所で音楽を追体験してほしい」と能登原委員長は語る。

 メーンの演目はハンコック「平和の街のために」、マル・ウォルドロン「白い道」、秋吉敏子「HOPE 希望」の3曲。

 ハンコックは被爆30年の1975年6月25日、コンサートのため広島市を訪れた。その夜に書き上げたのが「平和の街のために」だ。当時「原爆に傷つきながら、生き生きと立ち直った街の表情に打たれた」と思いを吐露している。翌26日に市内でこの曲を披露し、市へ寄贈した。

 5分ほどのピアノソロで、ゆったりとした明るいバラード。ハンコック自身ほとんど演奏していない幻の曲といわれる。

 「白い道」は被爆50年の95年に、「HOPE」は2001年に、いずれも作曲者自ら8月6日の原爆の日に広島市で演奏した。「HOPE」には詩人谷川俊太郎が詩を付けている。

 ピアノを研井貴香子(たかこ)、フルートを山本綾香、ボーカルをトニー・ハウズが務める。武満徹やバーンスタインらの曲も予定する。午後7時開演。2500円(前売り2千円)。同委員会Tel082(502)6304。

(2012年11月24日朝刊掲載)

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