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狭心症など積極認定を 日本被団協など 原爆症基準で要求

 日本被団協などは19日、国の原爆症認定基準の改定に向けた要求を発表した。積極認定の対象に狭心症など三つの病気を加えた上で、一部の病気に関する認定条件を緩和する内容。被団協は認定制度の抜本改正を訴えているが、国が応じる姿勢を見せていないため、「当面の要求として、まずはこの案を取り入れるよう訴えていく」としている。

 国が2013年に定めた現行基準は、がん、白血病など七つの病気を積極認定の対象とし、被爆地点から爆心地までの距離などの条件を病気ごとに設定している。一方、この基準の下で認定申請を却下された被爆者が国を相手に訴訟を起こし、勝訴する事例が続出。被団協は現行制度を廃止して全ての被爆者に手当を一律支給し、病気の程度に応じて加算する新制度の創設を求めてきた。

 「当面の要求」と名付けた改定案は、勝訴事例を踏まえ、狭心症▽甲状腺機能亢進(こうしん)症▽脳梗塞―の三つの病気を積極認定の対象に加えるよう提言。合わせて10の病気のうち、放射線白内障を除く九つについて、「爆心地から約3・5キロ以内で被爆」などと、より緩やかな条件に統一するよう訴えている。

 被団協と原爆症認定訴訟の全国原告団、全国弁護団連絡会などの代表者が協議を重ね、取りまとめた。被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員は「残留放射線の人体影響をほとんど考慮しない現行制度は間違いだ。最終目標は制度の抜本改正だが、被爆者は高齢化している。早急に事態を打開したい」としている。(田中美千子)

(2018年3月20日朝刊掲載)

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