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[イワクニ 地域と米軍基地] 原因の情報提供なし F35緊急着陸 飛行禁止求める声

 米軍岩国基地(岩国市)の最新鋭ステルス戦闘機F35Bが24日、航空自衛隊築城基地(福岡県築上町)に緊急着陸した。2021年以降、海軍仕様のF35Cの岩国配備も計画されている。原因について米側や国から地元自治体への情報提供はなく、岩国基地周辺の住民には、岩国でも事故やトラブルが起きる可能性を危惧する声が広がった。

 F35Bの導入を巡り、国は岩国市に対し、これまで死亡事故といった重大事故は発生していないと説明した。一方、岩国配備前の16年、米国本土で飛行中の出火事故があった。

 「いずれ問題が起きると思っていた」と岩国市の市民団体「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」の桑原清共同代表。「新しい機体で飛行期間が短いため、トラブルが目立っていないだけではないか」と指摘した。

 原因が究明されるまで同型機の飛行禁止を求める声が相次いだ。広島高裁で控訴審が係争中の岩国爆音訴訟原告団の津田利明団長は「沖縄などでは米側が安全と言えば、すぐに飛行が再開される。政府は厳しい監視の目を向けるべきだ」。市民団体「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県住民の会」の坂本千尋共同代表も「広島県の西部でもF35Bの目撃情報は増えている」と不安を口にした。

 自治体も情報収集に追われた。岩国市に中国四国防衛局から連絡があったのは、発生から約6時間もたった午後5時20分ごろ。市基地政策課の村上武史課長は「引き続き国に照会中。新しい情報があれば提供するよう要請している」と話した。

 山口県岩国基地対策室も「国から理由の説明はない。まずは状況を確認する」。広島県国際課は「国に丁寧な説明を求める。事故につながりかねない原因であれば対策を求めたい」とした。

(2018年4月25日朝刊掲載)

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