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所在不明100歳以上 7463人 広島市突出 原爆死没者・移民が影響か

戸籍上生存「最高齢」は164歳

 戸籍上は生存しているのに現住所が分からない100歳以上の高齢者が、広島市で昨年6月現在、7463人いたことが5日、分かった。法務省が2010年に全国調査した際、市は戸籍を電算化しておらず調査対象外だった。中国地方では突出して多く、市は「身元不明の原爆死没者や明治期の移民が多いため」とみている。

 市総務課によると、市の戸籍は昨年6月に電子化し、高齢者のリストアップが可能になった。現住所の記載がない100歳以上は7463人いた。うち120歳以上は2124人と3割弱を占めた。

 「最高齢」は1848年生まれの女性で164歳。日露戦争で連合艦隊を率いた東郷平八郎と同い年になる。

 所在不明の高齢者が相次いだ問題を受けた法務省の調査では、全国で所在不明の100歳以上は23万4354人に上ると判明した。中国5県の全109市町村(当時)では、電算化前の広島市など5市町を除く104市町村が対象となり、計2万6068人。最多は岡山市の1976人だった。

 法務省の調査に、広島市分を単純に加えると広島県は計1万5747人。都道府県別でみると、東京都(2万2877人)、大阪府(1万8986人)に次いで全国3番目に多かったことになる。

 法務省は現住所が分からない120歳以上を原簿から外すよう各法務局に通知。広島市は先月までに869人の戸籍を削除した。国民健康保険や国民年金などの行政サービスは住民票を基にしているため、影響はほとんどないという。(藤村潤平)

所在不明の高齢者問題
 2010年7月、東京都内で最高齢の111歳とされていた男性が30年以上前に死去していたことが判明し、問題化した。法務省は各地の法務局を通じて全国の自治体に調査を依頼し、5257万戸籍の9割に当たる4743万戸籍を調べた。同省によると、ことし9月末現在で120歳以上の所在不明者は約10万人おり、戸籍の削除の手続きを順次進めているという。

(2012年12月6日朝刊掲載)

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