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ゆだ苑 被爆どう継承 山口のセンター、あす設立半世紀 活動見直しへ検討委

 山口県原爆被爆者支援センターゆだ苑(山口市)は11日に設立50年を迎える。被爆者が減少する中、被爆体験をどう継承するかなど今後の活動を見直す検討委員会を18日に発足させる。来年3月をめどに方向性を出す。(門脇正樹)

 検討委は、山口大特任教授でゆだ苑の岩本晋理事長たち理事4人で構成。広島市のように被爆者以外に証言者を育成すべきかなどを話し合う。また、ゆだ苑が被爆者援護で積み立てる基金が底を突きそうなため、現在の活動を維持すべきか議論。旧山口陸軍病院跡地に立つ原爆死没者之碑の管理についても行政に委ねる方がいいのか検討する。

 山口県内の被爆者健康手帳の保持者は2809人(2017年3月末現在)。10年前の4776人に比べ41%減少。平均年齢も83歳になる。こうした現状を受け、4月の理事会で「時代に応じた活動に見直そう」との声が相次ぎ、検討委の設置を決めた。

 ゆだ苑は1968年5月11日、山口大や県被団協、労働団体の有志が県民から寄付金約5千万円を集め、被爆者が低料金で宿泊できる温泉保養施設としてスタート。同時に被爆者の集団健診や生活相談、被爆証言集の発行など幅広い活動を続けてきた。原爆死没者之碑の前で毎年9月6日、犠牲者を悼む「山口のヒロシマデー」を営んでいる。

 岩本理事長は「被爆者がいなくなったときに、ゆだ苑として何ができるか、しっかり議論したい」と話している。

(2018年5月10日朝刊掲載)

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