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めくる命の記録 原爆死没者名簿114冊 風通し

 広島市は16日、中区の平和記念公園で、原爆慰霊碑に納められた原爆死没者名簿114冊を外気に当て、湿気を取る「風通し」をした。昨年から2冊増え、5530人の名前が加わった。

 原爆が投下された午前8時15分、市職員19人が黙とうし作業を始めた。石室から1冊ずつ取り出し、碑の前の白い布に並べた。和紙のページを丁寧にめくり、傷みがないか確認した。

 平和学習の一環で訪れた本川小5年の藤川絢羽(あやは)さん(10)は「碑の『安らかに眠って下さい過ちは繰返しませぬから』という言葉と同じ気持ちになった。平和の大切さを世界中の人に伝えたい」と作業を見守った。

 名簿のうち112冊に、昨年8月5日までに亡くなった広島の被爆者30万8725人の名前や死没年月日を書いている。別の1冊に遺族が広島での記載を望んだ長崎原爆の被爆者9人を載せ、残る1冊に「氏名不詳者多数」と記す。

 市は作業後、広島の最新の1冊と長崎の1冊を除き石室に戻した。昨年8月6日以降に亡くなるか、死亡が確認された被爆者の名前を記帳し、8月6日の平和記念式典で納める。(辻本夕貴)

(2018年5月17日朝刊掲載)

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