×

ニュース

医療費支給の改善要求 ブラジル被爆者、国などに

 ブラジル被爆者平和協会の渡辺淳子理事(75)=サンパウロ市=が22日、広島市役所で会見し、ブラジルに住む被爆者への医療費支給の改善策を国と広島県に求めた。被爆者が受診時に窓口で医療費を払う必要がない「指定病院」をブラジル国内に設け、利便性を高めることを要望している。

 海外に住む被爆者(在外被爆者)の医療費は2016年から全額が支給されるようになったが、原則本人が病院で費用を一度支払った後、日本側に申請して払い戻しを受ける仕組み。日本国内では、指定の病院で受診すれば窓口での自己負担もないため、協会は同様の施設の指定を求めている。

 渡辺理事は今月、日本に滞在し、ブラジルの被爆者への医療費支給の担当窓口となっている県を8日に、厚生労働省を10日に訪れて要望した。会見では、協会の被爆者86人の平均年齢は84歳で払い戻しの申請手続きも負担になっていると指摘。「指定病院があれば、楽に安心して治療を受けられる」と訴えた。

 県被爆者支援課は「現地の被爆者の実情を踏まえ、国への要望と必要な調整を進めたい」としている。(水川恭輔)

(2018年5月23日朝刊掲載)

年別アーカイブ