×

ニュース

米艦載機移転 訓練騒音など懸念 「必要措置」 国に要望 中国知事会 温度差も

 中国地方知事会は23日、広島市南区で知事会議を開いた。米軍岩国基地(岩国市)への空母艦載機の移転完了を踏まえて、米軍の訓練空域のある自治体に対して「必要な措置」を講じるよう国に求める共同アピールを採択。ただ、必要な措置の具体策を巡っては、広島県の湯崎英彦知事と島根県の溝口善兵衛知事が異なる見解を示すなど、関係する県の温度差が浮かんだ。

 「広島県としては財源措置を求めていく」。5県知事が並んだ共同記者会見で、湯崎知事は強調した。直後にマイクを握った溝口知事は「米軍機による低空飛行をやめてもらうのが大事なポイントだ」と主張。財源措置の要求とは距離を置いた。

 山口を加えた3県にまたがる西中国山地には、米軍の訓練空域「エリア567」がある。湯崎知事は艦載機移転が本格化した昨年12月以降、低空飛行訓練の中止とともに、自治体が騒音対策などに充てる新たな国交付金の創設を求める。広島は今回のアピールに「防音対策」「財源措置」の文言を盛り込むよう、関係県に働き掛けてきた。

 これに対し、島根は了承しなかった。県幹部は「住民の平穏な生活を乱す低空飛行訓練の中止を訴えている。財源措置を求めれば、低空飛行訓練を容認したと受け取られかねない」と説明する。調整の結果「各県がそれぞれに解釈できるあいまいな文言」(広島県幹部)で決着した。

 岩国基地が立地する山口県の村岡嗣政知事は、共同記者会見で「それぞれの実情を踏まえて騒音被害などの現状を国に伝え、対策を求めることで連携したい」と語った。広島、島根両県と異なり、住民生活の向上や産業振興に充てられる交付金を国から受け取る。財源措置を巡る、踏み込んだ発言はなかった。

 アピールにはこのほか、住民が生活する地域での低空飛行訓練の中止や、騒音測定器を設けた自治体への財政支援などを盛り込んだ。6月中旬までに、防衛、外務両省へ提出する。(樋口浩二)

(2018年5月24日朝刊掲載)

年別アーカイブ