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永井隆記念館が一時閉館 28日から 雲南市 20年新築再開へ

 長崎の被爆医師、永井隆博士(1908~51年)が育った島根県雲南市三刀屋町にある永井隆記念館が、27日を最後に一時閉館する。博士を顕彰し、ゆかりの品を展示してきたが、老朽化が進み、所有する市が建て替える。被爆75年の2020年4月のオープンを目指す。

 市教委によると、現在の記念館は鉄筋平屋340平方メートルで、博士が友人たちに送った手紙やはがき、写真、紙芝居など計約500点を展示。図書室も併設し、子どもたちの学習の場としても活用されている。

 旧三刀屋町が、1970年に開設し、2004年の合併後に市が引き継いだ。博士生誕100年の08年度は3936人が来館したが、近年は減少傾向で、17年度は1351人だった。開館から50年近くたち、現行の耐震基準を満たしていない上に、トイレもなく、建て替えを決めたという。

 市の計画では、同じ敷地内の旧三刀屋公民館の建物と共に解体し、広さ約1・6倍となる530平方メートルの鉄筋平屋を建築。研修室を新たに設け、展示スペースのレイアウトも刷新する。総事業費は約4億5千万円を見込む。

 リニューアルまでの間、展示品は博士の母校、旧飯石小(同町)に保管し、一般公開はしない予定。市主催の「永井隆平和賞」は継続する。藤原重信館長(60)は「日本は平和かもしれないが、世界中が同じとは言えない。そんな世の中だからこそ、平和の大切さをしっかりと感じてもらえる施設としてあり続けたい」と話している。(口元惇矢)

(2018年5月26日朝刊掲載)

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