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[イワクニ 地域と米軍基地] 米軍機運用2.6倍に 本社調査 飛行活発化裏付け

 米軍岩国基地(岩国市)に空母艦載機約60機が移転した影響を探るため、中国新聞社は、移転前後の航空機の運用状況を調査した。移転が本格化する前の昨年11月と、完了後の今年4月の各1週間で離着陸回数などを比べた結果、米軍機の運用は2・6倍に増加。自衛隊機なども含め、1時間当たり50回超と過密状態のケースも確認した。移転に伴い、米軍機の飛行が活発化した状況を裏付けた。

 調査は昨年11月6~12日と今年4月21~27日に実施。滑走路の運用時間(午前6時半~午後11時)内の離着陸のほか、滑走路上を低空で通過する「ローパス(LP)」、滑走路に接地後に再離陸する「タッチ・アンド・ゴー(TG)」の回数について、記者が、滑走路を見渡せる場所から目視や音で確認した。

 基地は米軍と海上自衛隊が共同利用し、岩国錦帯橋空港の就航便も滑走路を使っている。全航空機の総運用回数は11月が811回だったのに対し、4月は1059回と1・3倍になった。視界不良や夜間のため機種、所属が不明なものも含めた。

 4月の米軍機の運用回数は737回。11月(283回)の2・6倍で、全体の7割を占めた。内訳は離陸254回(11月は91回)▽着陸263回(同97回)▽LP151回(同46回)▽TG64回(同47回)▽不明5回(同2回)。

 主な機種別では、艦載機の主力、FA18スーパーホーネット戦闘攻撃機の338回が最多で、11月の16・9倍。同じく艦載機のEA18Gグラウラー電子戦機は5・8倍の35回だった。既存の海兵隊機のFA18ホーネット戦闘攻撃機も106回と1・8倍だった。

 4月には10機以上の艦載機が連続して離陸するケースが目立った。数機の編隊が着陸前、LPやTGをすることもあり、騒音悪化につながっている。4月23日には午前11時45分ごろからの1時間で、米軍機と自衛隊、民間機の離着陸などが計51回あったのを確認。約71秒に1回の運用があった計算で、うち半数以上の27回が艦載機だった。

 3月末の移転完了後、基地近くの騒音計測回数は増加している。岩国市によると、基地南側の尾津町で4月は1311回を記録。2010年5月の滑走路沖合移設後、月別最多だった。

 市は中国四国防衛局から、基地の年間離着陸回数について報告を受けている。しかし、概数である上、LPやTGなど詳しい運用状況は把握していない。

米軍岩国基地への空母艦載機の移転
 在日米軍再編に伴い、米海軍の空母ロナルド・レーガンに搭載する艦載機約60機が厚木基地から段階的に配備された。2017年8月に第1陣のE2D早期警戒機5機が、11~12月にFA18スーパーホーネット戦闘攻撃機2部隊(24機程度)とEA18Gグラウラー電子戦機部隊(6機程度)、C2輸送機1機がそれぞれ移転。18年3月末までに残るスーパーホーネット2部隊(24機程度)が移り、移転が完了した。

(2018年5月31日朝刊掲載)

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